地域区分の概要

区分の一覧と1単位あたりの単価、自己負担分の差額について。

更新日:2021/05/26
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地域区分とは

地域区分とは、「地域の実情に合ったサービス料金」を設定するための仕組みです。

地域ごとに異なる人件費等を考慮して、コストが高まる地域(都市部)ではサービス単価が加算されるようになっています。

サービス料金の算定方法

介護保険ではサービス料金の算定方法が少し複雑で、その計算には「単位」というものが用いられています。基本、サービスごとの「単位数」は全国一律で統一されていますが、「1単位あたりの単価」については地域の実情に合わせて設定されることになります。

※「1単位あたりの単価」を変動させることで、その地域に合ったサービス料金を設定しています。

計算式
サービスの単位数(固定) × 1単位の単価(変動) = その地域のサービス料金
サービスAの単位数が100で、1単位の単価が10円(B市)の場合
100 × 10 = 1,000円(B市のサービス料金)
サービスAの単位数が100で、1単位の単価が11.4円(C区)の場合
100 × 11.4 = 1,140円(C区のサービス料金)

基本、1単位あたりの単価は「10円」で計算されますが、「地域区分」によって割増される地域では最大で「11.4円」までの単価が設定されています。

※ただし、「居宅療養管理指導(介護予防を含む)」および「福祉用具貸与(介護予防を含む)」については、全国一律で「1単位 = 10円」となります。

地域区分の一覧

地域の区分と1単位の単価は次のようになります。

※地域区分の括弧内のパーセントは、その地域における上乗せ割合となります。

2021年度~2023年度の地域区分
地域区分[上段] 1単位の単価[中段] 地域の例[下段]
1級地
(+20%)
10.90~11.40円 東京23区
2級地
(+16%)
10.72~11.12円 町田市、狛江市、多摩市、横浜市、川崎市、大阪市
3級地
(+15%)
10.68~11.05円 さいたま市、千葉市、八王子市、府中市、調布市、鎌倉市、名古屋市、守口市、西宮市、芦屋市、その他17地域
4級地
(+12%)
10.54~10.84円 牛久市、朝霞市、船橋市、成田市、立川市、相模原市、厚木市、豊田市、吹田市、神戸市、その他15地域
5級地
(+10%)
10.45~10.70円 水戸市、松戸市、あきる野市、横須賀市、大津市、京都市、堺市、尼崎市、広島市、福岡市、その他41地域
6級地
(+6%)
10.27~10.42円 仙台市、宇都宮市、川口市、武蔵村山市、岐阜市、静岡市、岡崎市、奈良市、和歌山市、太宰府市、その他130地域
7級地
(+3%)
10.14~10.21円 札幌市、栃木市、前橋市、新潟市、長野市、浜松市、長浜市、姫路市、岡山市、長崎市、その他156地域
その他
(+0%)
10円 1303地域

1単位あたりの単価は、サービスの種類によっても変わります。(「その他」の地域を除きます)

これには「人件費割合」というものがかかわっていて、以下の3段階の割合が設定されています。

人件費割合[上段] サービスの種類[下段]
70% 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護
55% 訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
45% 通所介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、地域密着型通所介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護

地域区分ごとの上乗せ額に対して人件費割合を掛けることで、その地域・サービスの「1単位あたりの単価」が算出されます。

例えば東京23区の場合は次のように計算します。

訪問介護の1単位あたりの単価
10円 + (2円×0.70) = 11.4円
訪問リハビリテーションの1単位あたりの単価
10円 + (2円×0.55) = 11.1円
通所介護の1単位あたりの単価
10円 + (2円×0.45) = 10.9円

地域によってどのくらいの差が出るか

1単位あたりの単価は、最低額の地域で「10円」、最高額の地域で最大「11.4円」となります。その差は「1.4円」。

上記の差をもとに、支給限度額いっぱいまで使った場合の「自己負担分の差額」を計算してみました。(差が最も大きくなるパターンで計算しています)

※下記の「自己負担分の差額」は、利用者負担割合が「1割」の場合の金額です。また、金額の小数点以下は切り捨てています。

自己負担分の差額(1ヶ月あたりの金額)
要介護度[上段] 差額の計算[下段]
要支援1 限度額[5,032単位]
最高額 57,364円 - 最低額 50,320円 = 差額 7,044円
自己負担分の差額 704円
要支援2 限度額[10,531単位]
最高額 120,053円 - 最低額 105,310円 = 差額 14,743円
自己負担分の差額 1,474円
要介護1 限度額[16,765単位]
最高額 191,121円 - 最低額 167,650円 = 差額 23,471円
自己負担分の差額 2,347円
要介護2 限度額[19,705単位]
最高額 224,637円 - 最低額 197,050円 = 差額 27,587円
自己負担分の差額 2,758円
要介護3 限度額[27,048単位]
最高額 308,347円 - 最低額 270,480円 = 差額 37,867円
自己負担分の差額 3,786円
要介護4 限度額[30,938単位]
最高額 352,693円 - 最低額 309,380円 = 差額 43,313円
自己負担分の差額 4,331円
要介護5 限度額[36,217単位]
最高額 412,873円 - 最低額 362,170円 = 差額 50,703円
自己負担分の差額 5,070円

どの地域で介護サービスを利用するかによって、最大で5,000円程度の差が生じることになります。(高額介護サービス費も絡んでくるので、状況によっては差が生じない場合もあります)

著者情報

高橋 永治(たかはし えいじ)

介護情報サイト「介護Ways」の運営者。

1996年、自身にとって初となるWebサイトを立ち上げ、98年からは企業向けのWebサイト制作サービスを開始。現在は企業サイトの運営管理、および複数の自サイトの運営管理を行っている。

親が認知症になってからは介護の世界に関心を持ち始め、介護保険制度について調べていくうちに「この複雑で分かりにくい情報を整理したい」という思いに駆られ、10ヶ月に渡る制作期間を経て2020年1月に介護Waysを公開。「簡潔に分かりやすく」がモットー。