地域区分の概要
区分の一覧と1単位あたりの単価、自己負担分の差額について。
地域区分とは
地域区分とは、「地域の実情に合ったサービス料金」を設定するための仕組みです。
地域ごとに異なる人件費等を考慮して、コストが高まる地域(都市部)ではサービス単価が加算されるようになっています。
サービス料金の算定方法
介護保険ではサービス料金の算定方法が少し複雑で、その計算には「単位」というものが用いられています。基本、サービスごとの「単位数」は全国一律で統一されていますが、「1単位あたりの単価」については地域の実情に合わせて設定されることになります。
※「1単位あたりの単価」を変動させることで、その地域に合ったサービス料金を設定しています。
- 計算式
- サービスの単位数(固定) × 1単位の単価(変動) = その地域のサービス料金
- サービスAの単位数が100で、1単位の単価が10円(B市)の場合
- 100 × 10 = 1,000円(B市のサービス料金)
- サービスAの単位数が100で、1単位の単価が11.4円(C区)の場合
- 100 × 11.4 = 1,140円(C区のサービス料金)
基本、1単位あたりの単価は「10円」で計算されますが、「地域区分」によって割増される地域では最大で「11.4円」までの単価が設定されています。
※ただし、「居宅療養管理指導(介護予防を含む)」および「福祉用具貸与(介護予防を含む)」については、全国一律で「1単位 = 10円」となります。
地域区分の一覧
地域の区分と1単位の単価は次のようになります。
※地域区分の括弧内のパーセントは、その地域における上乗せ割合となります。
地域区分[上段] | 1単位の単価[中段] | 地域の例[下段] |
---|---|---|
1級地 (+20%) |
10.90~11.40円 | 東京23区 |
2級地 (+16%) |
10.72~11.12円 | 町田市、狛江市、多摩市、横浜市、川崎市、大阪市 |
3級地 (+15%) |
10.68~11.05円 | さいたま市、千葉市、八王子市、府中市、調布市、鎌倉市、名古屋市、守口市、西宮市、芦屋市、その他17地域 |
4級地 (+12%) |
10.54~10.84円 | 牛久市、朝霞市、船橋市、成田市、立川市、相模原市、厚木市、豊田市、吹田市、神戸市、その他15地域 |
5級地 (+10%) |
10.45~10.70円 | 水戸市、松戸市、あきる野市、横須賀市、大津市、京都市、堺市、尼崎市、広島市、福岡市、その他41地域 |
6級地 (+6%) |
10.27~10.42円 | 仙台市、宇都宮市、川口市、武蔵村山市、岐阜市、静岡市、岡崎市、奈良市、和歌山市、太宰府市、その他130地域 |
7級地 (+3%) |
10.14~10.21円 | 札幌市、栃木市、前橋市、新潟市、長野市、浜松市、長浜市、姫路市、岡山市、長崎市、その他156地域 |
その他 (+0%) |
10円 | 1303地域 |
1単位あたりの単価は、サービスの種類によっても変わります。(「その他」の地域を除きます)
これには「人件費割合」というものがかかわっていて、以下の3段階の割合が設定されています。
人件費割合[上段] | サービスの種類[下段] |
---|---|
70% | 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 |
55% | 訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護 |
45% | 通所介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、地域密着型通所介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護 |
地域区分ごとの上乗せ額に対して人件費割合を掛けることで、その地域・サービスの「1単位あたりの単価」が算出されます。
例えば東京23区の場合は次のように計算します。
- 訪問介護の1単位あたりの単価
- 10円 + (2円×0.70) = 11.4円
- 訪問リハビリテーションの1単位あたりの単価
- 10円 + (2円×0.55) = 11.1円
- 通所介護の1単位あたりの単価
- 10円 + (2円×0.45) = 10.9円
地域によってどのくらいの差が出るか
1単位あたりの単価は、最低額の地域で「10円」、最高額の地域で最大「11.4円」となります。その差は「1.4円」。
上記の差をもとに、支給限度額いっぱいまで使った場合の「自己負担分の差額」を計算してみました。(差が最も大きくなるパターンで計算しています)
※下記の「自己負担分の差額」は、利用者負担割合が「1割」の場合の金額です。また、金額の小数点以下は切り捨てています。
要介護度[上段] | 差額の計算[下段] |
---|---|
要支援1 |
限度額[5,032単位]
最高額 57,364円 - 最低額 50,320円 = 差額 7,044円 自己負担分の差額 704円 |
要支援2 |
限度額[10,531単位]
最高額 120,053円 - 最低額 105,310円 = 差額 14,743円 自己負担分の差額 1,474円 |
要介護1 |
限度額[16,765単位]
最高額 191,121円 - 最低額 167,650円 = 差額 23,471円 自己負担分の差額 2,347円 |
要介護2 |
限度額[19,705単位]
最高額 224,637円 - 最低額 197,050円 = 差額 27,587円 自己負担分の差額 2,758円 |
要介護3 |
限度額[27,048単位]
最高額 308,347円 - 最低額 270,480円 = 差額 37,867円 自己負担分の差額 3,786円 |
要介護4 |
限度額[30,938単位]
最高額 352,693円 - 最低額 309,380円 = 差額 43,313円 自己負担分の差額 4,331円 |
要介護5 |
限度額[36,217単位]
最高額 412,873円 - 最低額 362,170円 = 差額 50,703円 自己負担分の差額 5,070円 |
どの地域で介護サービスを利用するかによって、最大で5,000円程度の差が生じることになります。(高額介護サービス費も絡んでくるので、状況によっては差が生じない場合もあります)